倭の恵王がト皮という賢者にたずねた。 「わしの評判はどうかね」 「王は慈悲ぶかく、めぐみぶかいかただと聞いております」 ト皮の答えに、王はわが意を得たりと相好をくずした。 「で、その成果はどういうことになるだろうな」 「成果はさよう、滅亡でございましょう」 ト皮は答えた。 「慈悲ぶかいと、人の苦しみを黙って見ていられません。めぐみぶかいと、人にものをやりたがります。人に苦しみを与えられないかたは、功績もないのに臣下に賞を与えるでしょう。 過失をおかしても罰せられず、功績もないのに賞を与えられる。 こんな国は滅亡するのが当然ではありませんか」
追伸、
優しさと甘さは違うと思います。
ほめるべき時にほめ、注意すべき時に注意する。
それが優しい大人としてのつとめだと思います。