HSP
2008-05-04(日) 00:29 | 長沼睦雄
「ずっと、人の心にやすらぎと希望を与えたいと思ってきましたが、自分に自信がなくて、人に関わる事を避けてきました。でも、本当は関わりたいのです。」
これまで私が出会ってきたHSP(Highly Sensitive Persons;敏感すぎる人)の性質を持つ女性の多くが、小さい時からすばらしい力を持ちながらも、大きくなるに従って、自分に自信がなくなって落ち込むようになり、薬の助けをかりるようになっていました。
HSPは感受性が強すぎるため、人が受け流がすことも流せず、人が平気で言えることも言えず、人が何も感じないものを感じてしまうためと、さらに苦手なところもいろいろあるためにそうなりやすいことは思うのですが、豊かな感受性を持ちながらそれを表現できないでいるのがどうしてなのか以前は不思議に思ったものでした。
しかし、私の中にもあったHSPの性質に自分で気がついてからは、そのようになりやすいことが実感としてわかるようになりました。そして、私がめぐり合ったHSPの女性たちに、HSPのすばらしさに気づき自信を回復してほしいとの思いで、積極的に診断しその性質を説明しています。
HSPの多くが右脳優位の認知特性を持っており、直感や共感、イメージ力や構成能力、概念化や発想力などに強みを持っている一方で、不注意であったり、頭が多動であったり、片づけられなかったり、方向音痴だったり、運動が苦手であったり、人の顔が覚えられなったり、計算がにがてだったり、外国語が苦手であったりします。
右脳的能力は、右脳に限らず実は脳全体を使う力であり、左脳の言語・概念や文字・数字の力に関係するのに対して、社会性や共感性、文脈性や本質性、注意集中力や絵画構成能力、運動や音楽的能力などに関係し、左脳の100万倍の情報処理能力があるとされています。
100万倍って大げさなと思うかもしれませんが、レオナルド・ダ・ヴィンチの描いたモナリザを画像として表現する場合と言葉で表現する場合とのパソコンでの容量の違いを考えたら納得されるのではないかと思います。
N.D.クックの「神経言語学のセントラルドグマ」には、「左半球が、会話や書記などに関連する随意運動のコントロールに主として関わっており、外部世界に直接向けたコミュニケーションをコントロールしている。右半球がこのコントロールに参加するには、左脳を通じて話さなくてはならない」と書かれています。
右脳系機能優位の脳を持っているHSPの人から、「感じたことやイメージしたことを言葉にできづらい」との訴えを時に聞きますが、その背景にはこのような脳のメカニズムが潜んでいたのです。
また、右半球機能は左半球機能を安定化させる働きを持つとされ、左半球が集めた字義どうりの言語的情報を解釈するための文脈処理つまり、関連のない情報から関連のある情報を分けて全体の輪郭を浮かび上がらせる働きを持つとされています。
発達障がい的に言えば、右脳優位系は言語の苦手な自閉症型、左脳優位系は非言語の苦手なアスペルガー症候群型、右脳左脳の優位性がハッキリしない系は特定不能の広汎性発達障害型と認知機能的には考えることができます。
右脳・左脳の議論は単に言語と非言語の関係にとどまらず、部分と全体、絶対と相対、科学と非科学、合理と非合理、人間と動物、地球と宇宙などの関係に発展させて考えてもいいかもしれません。
複雑で奥深い「人の心」という存在。その正体に真正面から挑み、きわめて説得力のある答えを提供してくれたのが、フロイトとともに無意識の世界を探求し続けたカール・グスタフ・ユング(1875~1961)です。
ユングは、西洋思想にはない東洋思想の奥深さに共感し、西洋的宇宙観(意識、科学)と東洋的宇宙観(無意識、非科学)の両方を受け入れ、それを統合し人格の完成を目指しました。
私も真言密教に出会い、TVなどでも霊的な経験を見聞きし、人の心には科学では説明のつかない素晴らしパワーがあることに気がつき、自分でも少しは実感できるようになりました。
いつの頃からか、科学と非科学をどう両立させ、自分自身や悩める人たちをどう救っていくのか、が次第に自分のテーマになってきました。
「脳と心と魂」と言ったのは、亡くなられたユング派の臨床心理学の創始者である河合隼雄さんですが、私もいつかはその全体性をつかみたいと願っています。