検査
2008-05-03(土) 22:19 | 長沼睦雄
あるお母さんから、どうして子どもの知能検査をするのですか?と質問されました。
その子どもは、HSPとマインズ・アイとADHD/LD傾向を持っていたからでした。
人の情報処理の仕方にはさまざまな認知スタイルがありますが、その中で文字・言語系よりもイメージ・感覚系に情報処理が傾いている、言い換えれば、言語<非言語の能力の偏りを持つ人たちがいて、それを私はスーパー・ディスレクシアという概念でまとめたいと考えています。
ディスレクシアの人は読み書き記憶の困難さを持っていますが、スーパーをつけるのは、その傾向に加えて、他の発達障がい特性とHSPとマインズ・アイを持つからなんです。
知能検査では、言語概念・知覚統合・記憶注意・処理速度と4種類の認知的能力しか計れませんが、それでも情報処理の仕方(認知スタイル)の一旦を知ることができます。
感覚や社会性や共感性など数値化できないものは問診やセルフ・チェックリストで確認しますが、上記の認知スタイルは問診だけではわかりづらいのです。
平均した知能指数が高くても弱い部分があったり学習が苦手であったりしますし、逆に、平均した知能指数が高くても強い部分があったり学習ができたりする場合があります。
知能検査をするとその子の弱い部分がみえ、弱い部分を持ちながらも頑張ってきたんだなと本人や周囲が納得できるのです。
実は、「弱い部分を持ちながらも頑張ってきた」というのは私自身の実感でもあるんです。
私は中学校ではオール5の成績をとっていましたが、それは好奇心や真面目さのために満遍なく勉強したからであって、人の気持ちや常識がわかりづらかったり、ミスや忘れ物が多いことを当時から何となく気がついていました。
先日も、自分はADHDではないかと診断を求めてきたの外国人の知能検査を私が行いましたが、その方も、生まれ持ったADHDやLDの性質を自分の努力で克服し、中学や高校では優秀な成績をあげ、日本に来て人のために頑張っている方なんです。
奥さんは何をそんなに悩むのかわからないようでしたが、本人は人にわかってもらえない悩みと自己不全感を持っていました。
また、別の日には、ディスレクシアの診断を受けに遠方より受診された方がいましたが、中学校での成績もよく大学まで進学したのに、なぜ読み書きが苦手だと悩むのか普通の人には理解できないと思います。
誰でも得意不得意はあるものですし、生まれ持った気質や培った性格もありますが、ものごとがうまく運ばず、どうしてよいかわからず、人にも相談できず、わかってももらえないということで悩み続けることって多いのではないでしょうか。
自分の性質や特性を知るとパズルの謎か解けたような気持ちになり、一旦は悩みが軽くなりますが、実は、知ることは問題の終わりではなく始まりなのです。
そういう自分だと知ったり解ったりしたとしても、本質的にはそれが変わるわけではないのですから、それを補う方法を見つけるか、身の丈にあわせた生活や仕事に切り替えていかなければいけません。
自分を知った時に何にもまして大切だと思うのは、「そんな自分でもよく頑張ってきたんだ」「そんな自分でもしかたがないよ」「これでやっていくしかないんだ」と思えることなんです。
このように自分の認めたくない部分を認めることは「棚おろし」と言われ、アルコホリック・アノニマス(Alckholics Anonymous;AA)やスキゾフレニア・アノミマス(Schizophrenia Anonymous;SA)のミーティングに集う人たちが行う回復のステップの初めの作業です。
このミーティングでは、「言いっぱなし、聞きっぱなし」「論したり、意見したりしない」ことが原則で、テーマについて参加者が順番に語り合います。
たとえば、SAの回復への8ステップとは、
1. 私は、認めます。2. 私は、信じます。3. 私は、理解します。4. 私は、選びます。5. 私は、許します。6. 私は、受け入れます。7. 私は委ねます。8. 私は、伝えます、となっており、それぞれに具体的に説明があります。
何となくその意味や意義が伝わってくるでしょう。つまり、自分を認めることが最初のステップなのですが、それも大変なことなのですが、そこから先が長いのです。
ちなみに、次の「私は、信じます」は何を信じるかというと、「自分自身の中に偉大な内なる力(パワー)が備えられていて、この力を用いて自分自身と仲間を助ける」ことをです。
北海道の浦河・べてるの家で始まった浦河-SAミーティングはその後、徐々に道内や全国に広まっているようであり、沖縄のやんばる先生のHPでも紹介されています。
私もAAやSAのオープンミーティングに何度か参加させていただき、いま深く心を揺さぶられています。
何とかこのすばらしい自助ミーティングを発達障がい者でも始めたいと以前から思っていたのですが、まずはAAやSAに学んでから準備したいと考えています。