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統合失調症

2008-04-13(日) 13:43 | 長沼睦雄

新しい病院に赴任して2週間が経ちました。

やはり第一印象は正しかったようで、対人関係で嫌な思いさせられる人にほとんど出会いません。土地柄なのか院長がよいのか伝統的なのかわかりませんが、言葉使いや態度が丁寧でやさしいのです。

今週は2名の患者さんを受け持ちました。まだ慣れないので指示の出し方を間違えたり忘れたりしていますが、看護師は優しく対応してくれます。患者さんも落ち着いており助かります。

こんな穏やかな毎日でも、少しは驚くようなことが起きるものです。

ある患者さんが病棟内で他の患者さんと喧嘩を起しために保護室に入れられ、さらに抗精神薬の注射を拒否したために、男性4名で身体拘束して注射をするはめになりました。

私も4人の男性の1人だったわけですが、その患者さんとはある程度心を通じていたために医療的処置とはいえ、その場にいる自分がいたたまれない気持ちでした。

感謝さんたちは病気のせいで感情や行動がとても不安定でそのコントロールが難しくなることがあります。そのような時には患者さんの病識が弱く、自分ではこの程度くらいでと思うのでしょうが客観的には普通ではない状態として拘束処置をとるわけです。

そうはいっても、普段から医療者たちと患者さんとの信頼関係がよくて、患者の言い分を
しっかり聞けていれば、患者さんの不満も募らず爆発することもなかったのかもしれないと思いました。

非行反抗をする子どもたちにも自分なりの言い分があり、それを聞いてもらえず頭ごなしに否定され続けるために、積もり積もったマイナス感情の鬱積を爆発させたり代償させたりしているわけです。

統合失調症の患者さんは被害的だったり妄想的だったりもしますが、それなりの言い分があるわけで、それをしっかり聞いてできる範囲で応えてあげる努力も必要なのかなと思います。そのあたりの加減は経験して学んでいくしかないのでしょう。

統合失調症では自分を護る自我状態が極端な機能不全になり、自我の殻(バリアー)が薄いために、自分の考えていることが相手に伝わるように感じたり、逆に相手が考えていることが自分に伝わるように感じたりするようです。

そうすると、何気ない周囲の言葉や動きが自分に迫ってきたり、自分を脅かす感じとなり、緊迫感が生まれ不安でいられなくなるようです。

実際、私が受け持った患者さんも症状が再発してそのような状態になり、自分で救急車を呼んで地元の病院に任意入院となりました。そこで治療を再開され、当院にきた時には患者さんの方から積極的に以前の状態を話してくれるよになっていました。

しかし、そのような状態の時でも、無理やり内面を聞き出すなどして患者さんを侵襲しないように指定医より注意をうけました。

好奇心旺盛な私としては、どうしても聞いたり調べたりしたくなり、患者さんの同意を得て知能検査やセルフチェックリストなどをさせてもらったわけですが、統合失調症の場合には今まで患者さんや親から根堀葉堀聞けていた発達障がいとは違うのだと認識を改めました。

これまで14年間、発達検査や知能検査はほとんど自分でやってきたわけですが、今回心理士の方から、検査は自分たちの仕事なので任せてほしいと言われました。心理士は3名いるのですが、外来では3ヶ月以上、入院でも1ヶ月ほど待たされると聞いていたので、それならと思い気軽に検査用具を借りる申し出をした時のことでした。

病棟の患者さんのほとんどが知能検査をしておらず、書類にも知能検査の値は記入していないのでおかしいとは思ったのですが、統合失調症の患者さんの場合には知能構造はほとんど考慮しないないようです。

統合失調症が認知機能の問題だけではないことは私も理解していますが、発達障がい的な問題が背景にあるかもしれず、統合失調症における認知機能障がいも注目されてきている時期なので、患者さんの状態を選んだ上での検査は必要だと思います。

ある先生の新患外来では午前中3名の新患が3名とも大人の発達障がいの患者さんでした。こちらではまだ大人の発達障がいの自助グループがない状況であり、ピア・カウンセリングの場もないようなのです。病院に慣れたところでそのような会を組織していきたいと考えています。